【有価証券による資金調達①】債券と株式の種類について

銀行からの借入等、資金調達手段は様々であるが、今回は有価証券(債券と株式)による資金調達について解説していきます。

まず初めに、債券と株式それぞれにどのような種類があり、どのような資金調達が可能か説明していきます。

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債券の種類

債券と銀行からの借入は、ともに金銭債権の契約であり、経済的にはほぼ同じである。すなわち、利息の支払いと元本の返済をはじめとする各種義務・条件は、債券も借入も資金提供者との契約で定められます。

債券と借入の大きな違いは、前者が金融商品取引法上の有価証券であり、後者が有価証券でないことになります。

では、具体的に債券にどのような種類があるか紹介していきます。

なお、上述のとおり、債券は契約であるから、当事者の合意があれば法律の範囲内で様々な形態の債券を作ることができます。
そのため、以下では債券の種類に関する一般的な分類を説明します。

 利息の支払いによる分類

利息が支払われる債券であれば、利息の支払いは額面(元本の金額)にクーポンレート(=利率)を掛けたものとなります。

このクーポンレートが契約によって特定の水準に固定されている債券であれば、その債券は「固定利付債」といいます。

逆に、そのクーポンレートが契約で変動するとされた債券は、「変動利付債」といいます。

もっともクーポンレートが変動するといっても、無秩序に変動するのではなく、クーポン支払い時点に近い「特定時点における特定の利率」に契約で定められたスプレッドを上乗せするのが通常です。

例えば「LIBOR※+1%」というように定められます(+1%の部分がスプレッド)

※ロンドン市場での資金取引の銀行間平均貸出金利

なお、満期まで利息の支払いがない債券もあります。その債券では、償還時(返済時)に支払う額は債券の額面(パー)となりますが、通常、債券を発行する際に調達する額が額面よりも低い金額となります。

つまり、「額面ー発行額」が利息に相当しており、こうした債券を割引債といいます。

株式の種類

基本的に株式には、あらかじめ定められた利息の支払いや、元本の返済などがない。

株式会社は、株式によって資金を調達した場合は、事業活動で利益が出た際に配当を支払えばよく、元本を返済する義務はありません。

また、株式会社が解散した場合は、すべての借金(債券も含む)を支払った後、財産が残っていれば、その残余財産が株式に支払われるだけであり、株式は残余財産に対する請求権しかもたない。

代わりに、株式を保有する株主には、経営に参加する権利が与えられています。

普通株と優先株について

株式は大きく分けると、「普通株」「優先株(劣後株)といった種類株」があります。

優先株はその名が示す通り、普通株との比較で、配当の支払いや元金の返済が優先される株式です。
例えば、配当可能な利益が出た場合、当初の契約に基づく配当が優先的に支払われる等の取扱がされます。ただし、優先株は株主総会における議決権などに制限が加えられるケースも多くあります。

また、優先株とは逆に、配当の支払いや元金の返済において、普通株より劣後する株式もあり、それを劣後株といいます。

さらには、1株に対する株主総会の議決権の付与数が多い株式や、他の種類への株式への転換条項が付与された株式等、種類株として様々な株式を発行することが法的に可能となっています。

もっとも、証券取引所で株式の売買が可能な上場企業が、こうした種類株を発行していると、普通株の権利があいまいとなり、一般の投資家の投資リスクが高まります。そのため、日本の場合は、上場会社で種類株を発行している例はほとんどなく、もっぱらベンチャーや中小企業等の未上場(公開)の株式会社で種類株の発行は行われています。

いかがでしたか、資金調達の代表的な手段である「債券」と「株式」といっても、実は多様な種類があります。

次回は、「債券」と「株式」の差異をもう少し詳しく解説します。

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