社長、CEO、会長、代表取締役の違いとは?1番偉い人は誰?

「会社の中で1番偉い人は誰?」と聞かれると、多くの人が「社長」を想像すると思います。

しかし、昨今ではアメリカから「CEO(最高経営責任者)」といった概念が入って来たり、また「会長」、「代表取締役」という役職もあり、それらと「社長」との違いは何なのでしょうか?

今回は、そうした会社のトップの役職の名称について解説します。

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実は法律で定めてらているのは「代表取締役」のみ?

「社長」「CEO(最高経営責任者)」「会長」「代表取締役」の4つの役職名のうち、日本の会社法でその名称が出てくるのは、実は「代表取締役」のみとなります。

会社法では、会社を代表する役職として、以下を定めています。
(法律に詳しくない方は、下でまとめていますので、読み飛ばしてください)

取締役会を設置している会社においては、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない(362条3項)。
取締役会非設置会社においては、各取締役が原則として会社の業務執行権と代表権を有する(348条1項、349条1項・2項)
指名委員会等設置会社には、執行役をおかなければならない(402条1項)
執行役が数人いる場合、取締役会によって執行役の中から代表権を行使する代表執行役を選任しなければならない。執行役が一人の場合には、その執行役が代表執行役となる(420条1項)。

簡単にまとめますと、会社の種類にもよりますが、会社を代表しているのは

代表取締役

なお、代表取締役の数には制限はなく、1人に限定する必要はないため、代表権を複数人が持つケースもあり得ます。
(取締役会を設置していない場合、各取締役がそれぞれ代表権をもちますが、代表取締役を選任することもできます)

なお、委員会設置会社という組織形態をとっている会社においては、

取締役会は業務の決定と監督に専念し、業務の執行権限を持たないことから、通常の株式会社における代表取締役に相当する役職は

代表執行役

となります。

そして、これらの会社の代表権を有する者は、公の登記簿に登録され、公表されることとなります。

つまり、

「社長」、「会長」、「CEO」 という役職は、会社内で自由に決められる名称で在り、法律で定められた地位や役職ではありません。

それぞれの役職は会社内で自由に定めることができるので、会社によって役職の位置づけは違います(A社では会長に大きな決定権を持っていますが、B社では名誉職で実務上の決定権がない等)。

ただし、一般的な特徴があるので、それを紹介したいと思います。

「社長」、「会長」、「CEO」 それぞれの特徴

社長

「社長」とは、一般的には、会社が定める職制において、会社外に対して会社を代表するとともに、会社内で全体の業務執行を指揮する役職のことです

社長の権限に対する法的根拠を確保するために、一般的には、株式会社では代表取締役若しくは代表執行役を社長(代表取締役社長、代表執行役社長)として可能な限り業務執行権限を委任しています。

会長

「会長」とは、社長の上に置かれる役職。社長を退いた人の名誉職となる場合が多い様ですが、代表権(代表取締役会長)をもつ場合もあります。

代表権を持つ、持たないに関わらず、自身が社長であった時の経験を活かして、後任の社長のアドバイザー役を務めるといった職務が比較的に多く採用されています。

CEO(最高経営責任者)

「CEO」 は「chief executive officer」の略称で、アメリカから入ってきた概念です。

アメリカでは、CEOは一般に理事会(法人が会社の場合は取締役会)によって選任されますが、定款の定めにより、社員総会(法人が株式会社の場合は株主総会)で選任する場合もあります。

理事会又は取締役会はいつでもCEOを解任することができるとされる。CEOの職務は理事会又は取締役会の指揮の下で法人のすべての業務執行を統括し法人の経営に責任を負うとされます。

CEOの職務は理事又は取締役 (director) の職務と明確に区別される点において、理事や取締役との役割分担が曖昧な会長や社長 (president) などの米国の伝統的な法人役員とは異なります。

つまり、社長が経営の「(取締役が担う)監督」と「執行」の両方担うことが想定された役職であるのに対して、

CEOは、「監督」と「執行」を区分した会社において、「執行」に集中することを想定された役職と言えるでしょう。

(ただし、米国の営利法人では取締役がCEOを兼任することが多いようです)

日本においては、上述のとおり、あくまでも法的に会社の代表権を持つのは「代表取締役」(委員会設置会社については「代表執行役」)となるため、CEO(最高経営責任者)の名称の役員の権限や責任に法的な裏付けはありません

昨今、「代表取締役CEO」という表記が、日本でも多く見受けられますが、会社内での最高責任者、つまり事実上のトップということを表す意味も持つこととなります。

1番偉い人は誰?

「偉い」が会社を代表しているという意味においては、1番偉いのは、「代表取締役」または「代表執行役」となります。

「社長」、「会長」、「CEO」は、会社によって権限が変わるため、偉いの意味合いにおいて1番は変わってきます。

職制で見ると、社長は会社のトップで、通常であれば会社のあらゆる監督・業務執行を担いますので、実務上では、1番権限を有していることが多いでしょう。

会長は通常、社長の上にランクされる名誉職(実務上の権限は社長と比べ少ない)であることが多く、組織上では社長より上の存在という意味では、1番偉い人と言えます。

CEOも会社のトップを表す役職として、昨今よく使われていますが、もし「取締役兼CEO」という名称の場合、代表取締役制度を採用している会社の場合、代表する権限は無いこととなります。

一般的なケースでまとめると

社長:
会社のあらゆる権限(監督・執行)を有していることが多く、1番権限が広い役職

会長:
社長を退いた人等が就く名誉職、1番地位が高い役職

CEO:
会社の業務執行について責任を有しており、会社の業績に1番責任を負う役職

いかがでしたか、「CEO」という言葉はかっこいいですが、「社長」「会長」と同じく社内の職制を表す役職でしかなく、実はその権限の範囲は不透明です。

相手がそうした役職を名乗ったとしても、相手の会社内での権限付与によって、その意味合いは大きく変わってきますので、注意しましょう。

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