ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授は、偉大なイノベーターに共通する素質・能力の研究を行い、その研究結果を、著書「The Innovator’s DNA」にまとめました。
今回は、「The Innovator’s DNA」を基に、イノベーターに必要とされる素質・能力について解説していきます。
目次
「The Innovator’s DNA」とは
クレイトン・クリステンセン教授は、およそ6年の年月を費やして、スティーブ・ジョブズ(アップルCEO)、ジェフ・ベゾス(アマゾンCEO)、アラン・ラフリー(P&G会長)といったイノベイティブな経営者として有名な25名と、3,500人を超える革新的な事業を起こした起業家の調査を行い、彼らがどのようにイノベーション、今までにないアイデアや事業戦略を生み出したのかを分析しました。
その分析結果から、偉大なイノベーターには、「5つの発見力(Five Discovery Skills)」があることを見つけ出しました。
そして、それを論文にまとめ上げ、その論文をもとに「The Innovator’s DNA」を書きあげました。なお、もととなった論文は高く評価され、2009年マッキンゼー賞を受賞しています。
イノベーターに必要とされる素質・能力
上述のとおり、偉大なイノベーターには、「5つの発見力(Five Discovery Skills)」があるとされました。
つまり、偉大なイノベーターとなるには、以下の5つの素質・能力が必要となります。
なお、著書の題名はDNAとされていますが、クリステンセン教授は、「5つの発見力」は先天的な素質でなく、実践を通じて後天的に開発・強化することが可能と結論付けています。
Associating(関連付ける力)
異なる分野から生じた、一見無関係に思えるアイディアをうまく結びつける力。またアイディアだけでなく、異なる分野の課題・疑問を結びつける力も含まれます。
日頃から異なる分野に触れ、また様々なものを関連付けて考えることで、この力は磨かれます。なお、「5つの発見力」の基幹となる力とされています。
Questioning(質問力)
既存の枠組みに囚われることなく、前提を覆そうとしたり、正反対の方向を考えたりすることで、物事・事象の探求につながる質問をする力。
どんな物事に対しても、「何が原因か、もし~ならば何が言えるか(Ask “Why?” and “Why not?” and “What if?”)」を常に考えることで、この力は磨かれます。
Observing(観察力)
一般的な事象や潜在顧客の行動を詳しく調べ(観察し)、その調べた内容から非凡なアイディアを生み出す力。
人類学者や社会学者になったかのように他の人々を観察して、そこから何かを発見していくことで、この力は磨かれます。
Experimenting(実験力)
学習のためには、少しの失敗なら構わないと考え、インタラクティブな実験を設定して、顧客の予想外の反応などを試す力。
試作品等を作成して、それらを顧客に試し反応を得ることで、この力は磨かれます。
Networking(ネットワーク力)
自身の知識の幅を広げるために、自分とは異なるアイディアや視点を持った人達へ積極的に交流していく力。
異なる国に積極的に訪れたり、異なる道を歩んできた人に積極的に会うことに積極的な努力を惜しまないことで、この力は磨かれます。
まとめ
上述の「5つの発見力」は、後天的に伸ばしていくことが可能なので、自身がビジネスにおいてイノベーションを起こすために、5つの発見力を鍛えていくことはもちろん
組織としてイノベーションを起こすような場合は、「5つの発見力」を持ったメンバーを集める必要があります。
ぜひ、「5つの発見力」を上手く見極め、あなたのビジネスでイノベーションを起こす役に立ててくれれば幸甚です。