前回、事業計画に記載すべき内容を紹介しました。
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事業計画書(ビジネスプラン)に記載すべき内容 詳細
今回は、事業計画に記載すべき一つである「財務計画」の内容について、新規事業(ベンチャー)においては、どのような内容を具体的に記載する必要があるかをより深く解説していきます。
新規事業を立ち上げる際に必要な財務計画とは
まず、記載しなければならない「財務計画」は、
資金調達額(およびそのタイミング)、商品開発から商品のローンチ(発売・公開)までにかかる費用(人件費も含む)
資金のプラス・マイナスをタイムテーブルで分かりやすく記載することが必要です。
こうした計画を一度でも作成してみるとわかると思いますが、事業においては立ち上がりが最も難しく、資金がショート(不足)するケースが非常に多くなります。
また、1~2年後に設備投資などを行う場合には、どのような財務状況(条件)で行う予定なのか把握しておく必要があります。
ベンチャーキャピタルの中には、事業計画が達成するステージごとに資金を拠出するという契約を望むケースもあるので、各ステージの指標の一つとして財務状況があるため、きちんと認識を共有しておく必要があります。
財務計画は、前提条件(例えば、人を1人雇う場合は費用は●●●万円等)と連動させながら作成していきます。
まず、前提条件として妥当な数値を定めたうえで、その前提条件の数値を変化させてみることで、その事業が利益を生み出すために不可欠な要素や事業継続を脅かす要素(避けるべき要素)等を把握することができるようになります。
そのため、これらの前提条件は楽観、基本、悲観の3ケース分を作成して、事業継続性を精査することが重要です。
投資家は、そうした前提条件に妥当な数値が置かれているか、妥当な前提条件のもとでその事業は利益が出るのかといったことを確認します。
資本政策について(最適な資本構成や株主構成を目指して)
資本政策とは、事業を遂行するために必要な資金を調達するための施策・戦略をいいます。特に、将来の株式上場を目指している場合は、最適な資本構成や株主構成を考えたうえで、新株発行やストックオプションの付与などを行う必要があります。
ベンチャーキャピタル等、大きな資本を投入してくれる投資家は、優先株(清算等の際に、普通株よりも優先して支払いを受けることができる株式、代わりに議決権が付与されないケースもあり)の発行や、その優先株に一定の条件の下で議決権のある普通株に転換できる権利の付与や、一定の期間後に契約時に定めた株価(例えば、投資額の2倍など)で買い戻す権利の付与を要求してくることもあります。
上場後に、起業したメンバーで、会社をコントロールできるだけの株式を保有し続けるのか、投資家等の第三者が関与することをどの程度許容するのかは、起業家の判断となります。
(もちろん、関与を許容したほうが資金調達は容易となることが多いです)
また株式を発行する際には、企業価値の計算が重要となります。企業価値を安く見積もられると株価も当然安くなり、計画通りの資金調達ができなくなるので注意が必要です。
また、資本政策をしっかり考えておかなければ、せっかく立ち上げた事業が上手くいき、上場まで達成できたとしても、他社からの敵対的買収等により、苦労が水の泡となる可能性もあります。
そのため、早い段階から、資金を株式で調達するのか、株主構成はどうするかについて慎重に考えたたうえで、計画を練ることが重要となります。
いかがでしたか、繰り返しになりますが、事業は立ち上げ時の財務計画が最も作成が難しいものです。
きっと、アイディアを形にしようと作成した際に、必要資金の多さに驚くことでしょう。ただ、どんな事業もこの一番苦しい立ち上げを超えて大きく成長しています。
前提条件を慎重に検討したうえで、ぜひ投資家を納得させることのできる財務計画を練ってみて下さい。