「ブルーオーシャン戦略」という経営戦略は、数多くの解説本が出ているので、知っている方は多いと思います。
その基となったのは、コンサルタントのW.チャン・キム氏とレネ・モボルニュ教授が書いた”Blue Ocean Strategy”という名の論文です。
今回は、ブルーオーシャンと対をなすレッドオーシャンの概念も説明しながら、上述の論文を基にブルーオーシャン戦略について解説していきます。
目次
レッドオーシャンとは何か
ブルーオーシャン戦略を理解するには、まずその対となる概念「レッドオーシャン」について知る必要があります。
では、「レッドオーシャン」とは何か?
「レッドオーシャン」とは、あらゆる既存市場のことを指しています。そこでは、誰もが市場の枠組みに関する理解を共有しており、勝負所も承知しています。
そのため、プレーヤー全員が競争相手を出し抜き、既存の需要の中で、より大きなシェアを獲得するように競うこととなります。
そして、競争相手が増えるにしたがって、収益性や成長性は減少していきます。
「レッドオーシャン」という言葉には、戦いで多くの血が流れた「血に染まる赤い海」がイメージされています。
ブルーオーシャンとは何か
では、反対の概念となる「ブルーオーシャン」とは何か?
「ブルーオーシャン」とは、まだ存在しない市場を指しています。そこは、知られざるマーケットであり、手垢のついていない市場ともいえます。
もちろん、「ブルーオーシャン」は知られざるマーケットであるから、需要者も存在しないこととなるため、自ら需要を生み出す必要があります。
その代わり、競争相手がいないため、収益性・成長性が多く望めます。
「ブルーオーシャン」という言葉には、戦いのない「きれいな青い海」がイメージされています。
ブルーオーシャン戦略とは
ブルーオーシャン戦略とは、簡単に言ってしまうと、レッドオーシャンでなくブルーオーシャンでビジネスしなさいという戦略です。
ただ上述のとおり、ブルーオーシャンは、存在しない市場で需要もないため、生み出す必要があります。
また生み出したブルーオーシャンが競争にさらされないよう(=レッドオーシャン化しないよう)に守る必要があります。
つまり、ブルーオーシャン戦略を描くためには、「存在しない市場を発見」し、「発見した市場を守る」の2つのポイントを実践する必要があります。
ブルーオーシャン(存在しない市場)の発見
ブルーオーシャンの多くが、最新技術や技術革新から創出・発見されるものと思われることが多く、確かのそういった一面があることは否定できないが、それだけが決め手となるわけではありません。
例えば、フォード・モーターが「組立ライン」の創造により、中間層が車を買うという新しい市場を発見したとされていますが、
実はその「組立ライン」の仕組みは自体は、精肉店の製造過程を取り入れたものに過ぎず、必ずしも根本的な技術革新があったわけではありません。
つまり、顧客に新しい価値をもたらすことこそが、新しい市場の創出・発見となります。
最新技術や技術革新はその手段でしかなく、また既存の技術を組み合わせたり、逆に不要なものをそぎ落とし簡素化することで、今までにない価値を顧客に提供し、それが顧客に受け入れられることで、ブルーオーシャンの発見へと繋がります。
ブルーオーシャン(存在しない市場)を守る
一度、ブルーオーシャンを発見すれば、基本的には競争相手がいないまま、その果実を刈り取ることができます。
また、提供する価値が顧客の潜在的な需要に沿うものである場合、短期間でスケールメリットを生み出すことができ、また事業によってはネットワーク効果も加わり、他社が参入する障壁は大きくなり、自然とブルーオーシャンが維持されることとなります。
(もし、そのような参入障壁が築けていない場合、ブルーオーシャンであることを維持するのが難しいでしょう)
しかし、ブルーオーシャンであると高を括っていると、ブルーオーシャンがレッドオーシャンに変わる可能性があります。
例えば、競争相手が似たような顧客をターゲットとする新しい市場(ブルーオーシャン)を発見した場合、そちらに顧客を奪われてしまう可能性があります。
今まで、ブルーオーシャンだと思っていた海が、いつの間にか他の海と一体となり、競争相手と激しい争いが繰り広げられるレッドオーシャンに変わってしまう可能性があります。
そのため、市場(ブルーオーシャン)の顧客の需要については、その地位を活かして常に注意を払い、その顧客を奪うブルーオーシャンの出現に気を付けなければなりません。
まとめ
最後におさらいも兼ねて、ブルーオーシャンとレッドオーシャンの違いをまとめましたので、経営戦略、新商品の企画、マーケティングの参考にしていただけたら幸いです。
ブルーオーシャン | レッドオーシャン |
---|---|
競争相手のいない市場を創り出す | 既存市場内で競争する |
競争とは無縁に | 競争相手を打ち負かす |
新規需要を創造する | 既存需要を取り込む |
提供価値とコストは両立できる | 提供価値とコストはトレードオフ |
差別化と低コストの両立が可能 | 差別化か低コスト化のどちらかを選択 |
ぜひ、皆さんのビジネスでもブルーオーシャンを発見してください。