今やスマートフォンの普及率は約65%(H27年度情報通信白書より)となり、特に若い世代のほとんどはガラケーでなく、スマートフォンを使用しています。
しかし、ガラケーからスマホに変わった時のように、ウェアラブル端末のような次世代のガジェットがその座を奪うのは時間の問題かもしれません。
今回は、スマホの次に来るものは何かを検討してみました。
目次
ガラケーからスマホへの流れを振り返る
携帯電話の歴史
1985年、NTTから一般顧客向けに初めて登場した携帯電話が、「ショルダーフォン101型」です。
肩掛けベルトのついた通信端末を持ち歩くスタイルのもので、重さは3㎏もあったそうです。
その後、ソニー製の小型のショルダーフォン、NTTからハンディタイプの携帯電話等が発売されましたが、まだ1㎏もあったようです。
なお、これらの最大連続通話時間は約60分しかありませんでした。
1990年代には、携帯電話のスリム化が実現していきます。
1991年には、NTTが発売したMOVAは230gにまで軽量化され、いわゆるガラケーの形に近づきます。
しかし、この時代はまだポケベルのほうが人気だったようです。
1990年代の後半になると、通話よりも安価なショートメール。
1999年には、「iモード」「EZweb」といった「インターネット上を含むウェブページ閲覧」、「電子メール送受信」等ができるサービスが提供され、普及が進み始めます。
2000年代には、カメラ付の携帯電話が普及し始め、写真付きメールの通称、「写メ」という言葉も誕生しました。
また、電子マネーの機能が付いた端末や、ワンセグチューナーがついたものが登場したのも、2000年代の前半のことです。
スマートフォンの登場
2000年代後半には、それまでの携帯電話と違う新たな潮流が生まれます。
スマートフォンの登場です。
2007年には、Appleが初代iPhoneを発表し、その翌年にソフトバンクが日本で初めてのiPhone端末となる「iPhone3G」を発売しました。
2009年には、ドコモから初のAndroid搭載端末が発売。
本格的なスマートフォンの普及の幕開けとなりました。
2010年代には、スマートフォンは急速に私たちの生活の中へ浸透し始めます。
2011年には、それまでAndroid端末のみを販売していたKDDIがiPhone端末の取扱いをスタートさせ、ドコモも13年にiPhone端末の提供を開始しました。
2012年には、スマートフォンの新規購入がいわゆるガラケーを超えることとなりました。
スマートフォンがここまで普及した理由としては、
「無数のアプリによる利便性向上と汎用性」、「従来よりも大きな見やすい画面」、「タッチパネル操作によるスマートなデザイン」等
が、今までの携帯電話よりも優れていたためと考えられています。
スマートフォンの登場により、私たちはノートパソコンよりも持ち運びが容易なパソコンを手に入れたといっても過言ではありません。
(参考)日本における携帯電話のガラパゴス化
日本における携帯電話は、携帯普及時から当時の最先端だった独自技術を多く採用し、その性能・機能は世界最高水準であったと言われています。
しかしながら、日本の高性能な携帯電話は海外市場ではほとんど売れず、その特異現象は、「ガラパゴス化」(日本市場で独自の進化を遂げた技術が世界標準からかけ離れてしまう現象)と呼ばれるようになりました。
日本の携帯電話がガラパゴス化した原因については、「携帯電話の普及と発展を奨励するため取られた産業政策」が主な要因であったとされています。
日本においては、携帯電話の通話に使う周波数は、国が無償で通信事業者に貸与する政策がとられました。
それに対して、欧米等の多くの国では、携帯電話の通話に使う周波数は、国家がその使用権を競売にかけ、その収益を国の財源とする方式をとっておりました。
さらに、日本では、業界優遇政策の一環として通信事業者による消費者の囲い込みが長らく許容されていました。
それに対して、独占禁止法等によって消費者の選択を保護する政策が採用された国では、同じ通話契約のまま携帯電話のSIMカードを他の携帯電話に入れ替えて使う等の携帯電話端末および通話サービスの選択の自由が充実していました。
上記のように、日本では、通信事業者が消費者を強力に囲い込んでいたため、携帯電話メーカーの通信事業者に対する従属性が高く、メーカーは通信事業者の要望に沿い、
多機能だが世界的には類を見ず、商品寿命の短い一社専用ハイエンド携帯電話
を開発することとなり、世界的な標準とは大幅に乖離することになりました。
一方で、欧米等では周波数獲得に膨大な費用がかかり、消費者の流動性が極めて高い状態にあった等の事情から、設備投資・開発費の節約に向けて、通信規格の統一がいち早く行われることになりました。
スマートフォンの次に来るものとは
今後、ますます進化を遂げるスマートフォンですが、スマートフォンよりも普及するガジェットがあるかという意味では、当面スマートフォンの優位は揺るがないと思います。
なぜなら、スマートフォンに変わるガジェットとしては、以下のような物が考えられますが、そのどれよりも、当面はスマートフォンのほうが生活に便利だと思われるからです。
- スマートウォッチ(ウェアラブル端末)
健康管理等に特化して使用する方向になると思わえれます。インターネットの検索結果等を情報端末として表示するには画面が小さく、スマートフォンの優位が揺るがないため - スマートグラス(メガネ・コンタクトレンズ)
VRの技術の進化により、現実空間とミックスした形で情報を表示することは、近い将来普及しそうですが、メガネ等で常にその状態となることは、交通の安全面等からまだまだ課題がありそうです。そのため、次ではなく、次の次くらいでないかと思われます。
では、スマートフォンの次に来るものは何か?
私は、端末の種類やタッチパネルへの変化といった外形上の進化でなく、内面的な進化
「パーソナルAI」の本格導入
と考えております。
コンピュータが「パーソナルコンピュータ」として、個人向けOSへと進化したように、
今後は、各人がそれぞれの趣味趣向を理解してくれる「パーソナルAI」を持つ時代が来ると思います。
昨今のAIの進化は、ディープラーニングの発展等により著しく、今もスマートフォンに入っている音声認識AI等が進化を遂げていくものと思われます。
その結果、インターネットの検索、アプリの整理、スケジュール管理、あなたの趣味趣向と合致したイベントや情報の案内等を、あなたのことを理解した「パーソナルAI」が行ってくれる時代が来るものと思われます。
個人向けにカスタマイズされていくAIこそが、まさにスマートフォンの次に来るものではないでしょうか?