経済学という言葉は聞いたことがあると思いますが、実は経済学がどのような目的をもった学問か聞かれると、答えられない人が多いのではないでしょうか?
そこで今回は、経済学がどのような目的をもった学問か、経済学の歴史とともに解説します。
経済学とは(経済学の目的は)
人間の消費の欲望は無限であるのに対して、それを満たすための資源は限られているため、そうした資源が効率的に分配されることが求められます。
経済学は、①何をどれだけ(生産量)、②どのような方法で(生産方法)、③誰のために生産すれば(分配方法)、一番効率よく分配されるかを分析する学問と言えます。
例えば、自由経済体制をとる国は、原則的に、市場経済の働きに任せることが「効率的な分配に一番最適である」と考えていると言えます。
しかし、「市場の失敗」と言われる市場機能では解決できな場面も多くあり、そうした場面の想定やそうした場合の修正方法のための学問とも言えます。
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市場で(複数の人間がいる中で)、有限の資源を、効率的に分配することが求められる
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生産量、生産方法、分配方法等を分析して、効率的な分配を行うための学問が発達=経済学
市場経済の効率性と経済学の体系
経済の基本的な問題は、原則として、市場経済の働きで解決するが、最高の効率性を追求すると、病気や高齢などで働けない人は分配を受けられないという不公正な事態が起こります。
そこで、限られた資源を無駄なく利用して、社会全体の効用を大きくするという効率的資源配分の視点と、生産された所得をある程度公平に分配しようとする所得配分の視点の2つを融合させて、社会全体の構成を考えるという見方が生じます。
マクロ経済では、一国等の経済全体において、所得が生産・分配・支出され、経済成長する姿を分析します。
ミクロ経済は、マクロ経済の具体的なプレイヤーに注目した経済分析であり、主に消費者と生産者が取引する市場の価格を分析する。
経済学の歴史
16世紀に世界商業が拡大して封建社会が崩壊するにつれて、国家の経済政策をめぐって自国貿易を保護する重商主義経済学説が登場しました。
次に、18世紀末の産業革命を経て、資本主義興隆期には、英国において競争市場の価格分析を中心とする古典派経済学が盛んとなりました。
しかし、19世紀末から大企業によって、市場の競争が阻害される独占化の傾向が強まった結果、マルクス経済学、新古典派経済学が台頭しました。
さらに、1929年の大恐慌によって、従来の経済学では説明がつかない慢性的大量失業の時代になり、国家の経済への介入を主眼とするケインズ経済学が現れました。
第2次世界大戦後は、計画経済に配慮した自由経済の理論が多種多様に展開されています。
経済学の歴史(まとめ)
●封建社会から資本主義社会への過渡期
トーマス・マン等による重商主義政策の主張
●資本主義興隆期
アダム・スミス等による古典派経済学(利己心に基づいて行動する「経済人」を想定し、競争市場の価格機構を分析
●大企業による市場の独占化が進んだ時代
マルクス経済学(資本と労働の分析を通じて、経済の仕組みを解明)
新古典派経済学(限界効用理論で市場分析)
●大恐慌以後
ケインズが大量失業と大不況の分析を行い、古典派経済学を批判して、有効需要創出を主張
●第二次世界大戦以後
自由経済と計画経済の2つの体制が存在する中で、自由経済を原則としながら、計画経済の視点を取り入れた経済分析が発達
さらに、新古典派経済学とケインズ経済学を統合した経済学、資源の効率配分を分析する厚生経済学、不確実性の経済学等が発達してきています。