企業の財務分析を行ううえで、最も重要な指標が「ROE」です。
今回は、そんな「ROE」の定義およびその指標からわかることを紹介します。
ROEの定義
「ROE」とは、株主に対する最終的な利益率の指標となります。
「ROE」は、当期純利益(※1)を自己資本(※2)で割ったものとなります。
式で表すと以下となります。
「ROE」= 当期純利益 / {(期首の自己資本+期末の自己資本)÷2}
※1
正確には、「親会社株主に帰属する当期純利益」で計算することが一般的に多い
※2
正確には、「純資産合計」から、「新株予約権」と「非支配株主持分」を控除した額
ROEの分析
デュポン・システム
デュポン・システムとは、ROEを、3要因(売上高当期純利益率×総資本回転率×財務レバレッジ)に分解して、財務分析を行う手法である。
ちなみに、3要因を数式で表すと以下となる
⓵売上高当期純利益率= 当期純利益 / 売上高
②総資本回転率= 売上高 / 総資本
③財務レバレッジ= 総資本 / 自己資本
つまり、①×②×③= 当期純利益 / 自己資本 =ROE
となります。
ROEが示すもの
ROEは、株主が投下した資本に対して、どれだけ効率的に利益を挙げられているかの尺度を示す指標です。
ROEは、分母が自己資本(株主の投下資本)となっているため、株主が、企業の業績の良し悪しを判断する指標として、一番使われていると言っても過言ではありません。
なお、業界にもよりますが、5%が評価の分かれ目となることが多いです。
5%よりも低い企業は成績が悪いと評価されることが多く、逆に、10%を超えるような企業は、成長している企業と評価されます。
ROEを上昇させるには
上述したデュポン・システムを用いて、3要因に分解して考えるのが一般的です。
つまり、上述の3要因(①売上高当期純利益率×②総資本回転率×③財務レバレッジ)の数値を上昇させることで、ROEが上昇します。
具体的には以下のとおりとなります。
⓵売上高当期純利益率の向上:利益率の高い製品・サービスを販売する
②総資本回転率:売上高を伸ばす、売上高につながらない財産(遊休資産)を売却する
③財務レバレッジ:負債(銀行借入等の他人資本)の割合を上げ、株主一人当たりのリターンを増加させる。
ただし、③財務レバレッジを上げるために負債を増やす行為は、その分支払利息が必要となり、当期純利益の減少を招き、結果としてROEを減少させる行為となる可能性があることには留意が必要となります。
いかがでしたか、投資を検討している方は、企業分析の基礎中の基礎なので覚えておいたほうがいいでしょう。
また、起業家や経営者の方にとっては、重要な成績表となる指標であるため、ぜひROEを上昇させる経営を意識することが重要です。