前回の記事では、マーケティングの基礎となる消費者の行動分析の手法を紹介しました。
皆さんは、おそらくマーケティングという言葉を聞いたことはあると思います。
しかし、「マーケティングとは具体的にどのようなものであり、どのような目的で行うのか」と聞かれると、答えに窮してしまう人が多いのではないでしょうか?
効果的なマーケティングを行うには、その「定義と目的」をはっきりさせておくことは重要です。そのため、今回は「マーケティングの定義と目的」を解説します。
マーケティングの定義とは
結論から先に述べると、実は「マーケティング」に決まった定義はありません。
決まった定義がない原因としては、時代とともに顧客の行動も変わり、それに伴い企業の製品に対する考え方や、顧客の捉え方も変わってきたことから、
「マーケティング」の定義も変化してきました。
そもそも、「マーケティング」という考え方は、19世紀の米国で始まった大企業による大量生産および販売を支えるものとして生まれました。
その後、「マーケティング」は米国をはじめとした先進国で研究され、徐々に企業活動に取り入れられるようになった。
当初の「マーケティング」は、大量生産・販売を可能とするための製品およぼ生産プロセスとは何かを主眼とした「生産・製品志向」でした。
しかし、その後、製品の値段も含めた販売方法を考える「販売志向」へとシフトしました。
さらに、現代では、インターネットの普及やグローバル化等の影響を受けて、顧客の視点を重視する「顧客志向」、製品・サービスが社会に果たす役割を重視する「社会志向」にシフトしています。
「顧客志向」とは、自社の製品・サービスを購入してくれる取引相手(顧客)を設定し、その顧客をいかに満足させるかを主眼に置いた手法です。
「社会志向」とは、自社の社会的責任、社会貢献、環境活動といった視点を重視する手法です。
上記のとおり、「マーケティング」は何を重視するかによって、その定義は異なります。
なお、米国マーケティング協会の定義では、「マーケティング」とは
- 組織的活動
- 顧客に対し、価値を創造し、伝達し、価値を届けるためのプロセス
- 組織およ組織のステークホルダーに恩恵をもたらす方法で、顧客関係を管理するためのプロセス
とされており、「顧客志向」よりの考え方が採用されています。
マーケティングの目的とは
マーケティングを行う最大の目的は、
「自社の製品・サービス(創造した価値)を、顧客が知り、購入するプロセス」を差別化および効率化することです。
市場では、ほとんどの企業は他社と競合状況にあるのが通常です。例えば、独自のサービスを提供している企業であっても、顧客が類似のサービスに乗り換える可能性もあり、競合状況がない企業は基本的に存在しません。
そうした中で、企業は自社の製品・サービスを、競合他社よりなんらかの点で優れたものに(差別化)しなければなりません。
また、そうした差別化した製品・サービスを、顧客に知らせ、購入するプロセスを効率化することで、顧客の製品・サービスへの購入機会が生まれやすくなり、売上アップにつながります。
(また、そうしたプロセスを効率化すること自体が製品・サービスの差別化となる場合もあります)
つまり、マーケティングを行う目的とは、
自社の製品・サービスを顧客が購入するプロセスを分析することで、
製品・サービス自体の差別化を図るとともに、製品・サービスを顧客に届けるためのプロセスを効率化を図ることです。
マーケティングを行う際は、上記の目的を意識して行うことが重要となります。
まとめ
「マーケティング」の定義
- 時代とともに変化するため、決まった定義はない
- 「顧客志向」等の「●●志向」といった形で、何を重視(どの視点)でプロセスを捉えるかで定義が変わる。
- 米国マーケティング協会の定義では、「組織的活動」かつ、「顧客に対し、価値を創造し、伝達し、価値を届けるためのプロセス」かつ、「組織およ組織のステークホルダーに恩恵をもたらす方法で、顧客関係を管理するためのプロセス」
「マーケティング」の目的
自社の製品・サービスを顧客が購入するプロセスを分析することで、
製品・サービス自体の差別化を図るとともに、製品・サービスを顧客に届けるためのプロセスを効率化を図ることです。