【有価証券による資金調達②】債券と株式の差異について

債券と株式の差異を簡単にまとめると、

債券では利息支払いや元本の返済が当初の契約で定められていますが、経営に参加することはできません。
一方、株式では剰余金や残余財産があれば、それらが支払われるのみですが、経営への参加することが可能となります。

本記事では、そうした債券と株式の違いをもう少し掘り下げて紹介します。

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企業活動における債券と株式の違い

企業の財務との関係

企業は、設備投資、原材料の調達等のために資金調達を行い、製品やサービスを販売して売り上げを得ます。

製品やサービスを販売した売上から原材料費や人件費等を差し引いた営業利益が計上されます。

次に営業利益から負債(銀行借入、債券)に対する利息支払い(営業外費用)等のを差し引いた経常利益が残ります。

さらに経常利益から特別損益等を差し引いたうえで、法人税などを抜いた残りが当期純利益となります。

この当期純利益から株主に対する配当が支払われる(または留保される)こととなります。

債券と株式の財務上の違い

つまり、債券のための利息支払いは、営業外費用(税法上の費用)となるのに対して、株式への配当は税引き後の利益処分でしかありません。

そのため、債券・株式のどちらで資金調達を行うかは、企業の資本コストの算定に影響を与えます。

投資家から見た債券と株式の違い

利益配分の順序

利益配分の順序は、上述のとおり、まず債券の利息(また、期限が到来していれば元本)が支払われ、株式に対しては、税金等を支払った後の残りでしか配当は行われないため、企業の事業活動で利益が出なければ、十分な配当は支払われません。

また、この順序は、企業が倒産等を理由に解散したときの財産の分配する順序でもあります。

すなわち、企業が倒産した際は、法律に基づき、保有していた財産が売却され、現金同様のものに変えられた後、そこからまずは負債(債券を含む)の支払いが行われます。
全ての負債の支払いが終わり、なお残余財産があれば株式にも支払いがありますが、残余がなければ株式に支払われるものはないことになります。

もっとも、保有していた財産では、負債を払いきれない場合でも、株式をもつ者(株主)が、その不足分を負担する義務を負うことはありません。
(ただし、株式は無価値となりますが・・・)

リターンの期待

債券に投資した投資家は、その投資収益の期待値は、契約で定めた元利払いの大きさと市場金利によってほぼ決まることとなります。

それに対して、株式に投資した投資家は、その投資収益の期待値を予測することは難しいことが多くなります。
なぜなら、株式の収益・価値は、企業の生み出す利益と負債による資金調達の状況の影響を受け、またその大きさに左右されることになるからです。

これがいわゆる株式が、債券と比べ、リスクの高い証券と言われる由縁です。

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