【高校生から知っておきたい金融知識】株式会社とは何か

「株式会社」という言葉は、おそらくほとんどの人が聞いたことがあると思います。

テレビのニュースやCM、スマホの広告など、株式会社という言葉を聞かない日はないと思います。

では、株式会社とは株式を発行する会社であることは知っているかもしれませんが、「株式」とは何を目的に発行されるか言えるでしょうか?

皆さんも、将来は株式会社に勤めているかもしれません(むしろ多くの方はそうなります)。

今回は、株式会社に関する知識をシンプルにまとめましたので、ぜひ読んでみて下さい。

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私たちの生活に欠かせない会社

私たちが普段の生活の中で様々な商品を手に入れるまでの流れを見てみると、大きく3つの段階分けられます。

  1. まず、商品が工場で作られます(生産)
  2. 次に、完成した商品が工場から販売店に運ばれます(流通)
  3. そして、私たちは商品を販売店から買います(消費)

上記は1つの例ですが、このように商品を作り、運び、売る・買うという一連の流れのことを“経済” といいます。

経済の中心的な役割を担っている1つが“会社”と呼ばれる組織です。

会社とは、複数の人たちが共同で経済活動を行う組織のことをいいます。

会社は利益を得る目的でモノ(商品)やサービスを提供することにより、その対価として、お金を受け取ります。

そのお金を元手に、さらに新しいモノやサービスを提供することで、より大きな利益を得ることを目指します。

会社のかたちは、経営のしくみによって、“株式会社” 、 “合名会社” 、 “合資会社” 、 “合同会社”など に分けられます。その中でもふだんニュースやCMなどでなじみのある会社のほとんどは株式会社です。

株式会社とは、株式の目的とは

会社の活動の元手となる資金を、株式を発行して大勢の個人や他の会社などから提供してもらい、事業活動を行い、利益を得ることを目的とした会社が“株式会社”です。

事業などに資金を出す人をふつう“出資者”あるいは“投資家”といいますが、株式会社の出資者(投資家)のことを“株主”といいます。株主は資金を提供した証明として会社から株式を受け取ります。

つまり、株式(発行)は、資金調達という目的を達成するための会社の手段であると言えます。

株主は、取得した株数に応じてその会社の一部の所有者(持ち主)となります。つまり、株式会社は株主で構成された会社といえます。日本には約250万社の株式会社があります。

では、なぜ会社は、投資家(株主)から資金の提供を受ける必要があるのでしょうか?

会社の資金調達の必要性

会社が事業活動を行っていくためには、本社や支店、工場など多くの設備が必要です。また、そこで働く人たちに給料を払ったりしなければなりません。

そのためには事業活動を行うには多くのお金が必要です。

会社の事業活動の元手となるお金を“資金”といい、会社が資金を集めることを“資金調達”といいます。

資金調達には、上記のとおり、投資家等に対して株式を発行して資金を集める方法のほかにも、銀行などの金融機関から借り入れて(借金して)集める方法等があります。

銀行などの金融機関から借り入れる方法
資金を必要としている会社が、銀行などから資金を借りる方法です。
ただし、どんな会社でも資金を借りられる訳ではありません。銀行から“この会社はお金を貸してもきちんと返してくれる”という信頼を得られなければ、資金を貸してもらえません。
銀行から資金を借りた会社は、当然、期限がきたら資金を全額返さなければなりません。
また、一定期間ごとに“利息”を 支払う必要があります。

株式による資金調達の特徴

先ほど説明した通り、資金調達したい会社が、投資家等に呼びかけて資金を提供してもらい、資金を提供してもらった証明として“株式”を発行します。

株式を発行して集めた資金は、銀行からの借金した場合とは異なり、借金の返済や利息の支払いをする必要はありません。そのため資金をたいへん効率的よく活用できます。

では、株式会社は、株式を購入した投資家等(株主)に対して資金を返還する必要はないのでしょうか?

もちろん、そんな都合の良い話はありません。

株主は、その株式を発行している会社との関係で、一定の権利を得ることになります。
(逆に株式会社は、株主に対して一定の義務があることになります)

株主が得る権利のうち代表的なものは次の3つです。

① 会社の経営に参加する権利(議決権)

株主は、会社の経営を任せる取締役や会社の経営方針などを決める“株主総会”に出席して、付議されている議案(誰を経営を任せる取締役にするか等)に対して、賛否を投票することができます。

株主総会における決議は多数決によって行われますが、その投票数は、基本的に持っている株数に比例します。したがって、より多くの株式を持っている株主(大株主といいます)ほど会社の経営に対して、大きな影響力を持つといえます。

② 配当金などを受け取る権利(剰余金配当請求権)

“配当”とは会社が事業活動によって得た利益を株主に分配することです。

株主は持っている株数に 応じて配当を受けることができます。通常、配当などの利益の分配は年1回または2回行われます。
配当の金額は会社の利益によって決定され、会社が多くの利益を得た場合には配当が増えることもありますが、逆に、あまり利益を得られなかったり、損が出てしまった場合には配当が減らされたり見送られることもあります。
実際に配当を行うかどうかは株主総会で決められます。したがって、この権利は必ず配当が受け取れるということを意味しているものではありません。

③ 会社が解散した時に残った会社の資産を受け取る権利(残余財産分配請求権)

会社の意思で事業活動をやめて会社を解散した場合には、その会社の資産は売却するなどして、まず、資金を貸してくれた金融機関等への返済資金に充てられます。そうした返済が済んだ後、さらに財産が残っていれば、その残りの(残余)財産について株主は持ち株数に応じて分配を受けることができます

これに対し、会社が赤字を抱えて倒産した場合は、債務超過(資産より借金のほうが多い)となっていることが多いので、最終的に資産が残る見込みはほとんどないでしょう。この場合、株主としての責任は投資した資金の範囲に限定されます(株主の有限責任)。つまり、株式会社が多くの借金を抱え て倒産した場合、株主には投資したお金は戻ってきませんが、株主の責任はこれだけで、投資した金額以上のお金を請求されたり、会社が抱えている借金を肩代わりしなければならないといったことはありません。

株式の売買について

株主になるということは、株式を買うということですが、株式は株式会社から直接買うのではなく、通常は証券会社に申し込んで買います。

株式会社が新たに発行する株式を買う場合、投資家が支払う代金は証券会社を通じて株式会社に支払われます。

これに対し、すでに発行されている株式を買う場合、投資家が支払う代金は前の株主に渡るだけで、株式会社に渡って新たな事業資金として使われるわけではありません。

株式会社への資金提供は、最初の株主によって行われ、以後、売買によって株主の権利、および資金提供者としての立場がその後の株主に引き継がれていくことになります。

一方で、株主をやめたいときは、持っている株式を売れば株主ではなくなります。その場合、株式会社から投資した資金を返してもらうのではなく、証券会社に株式を売る注文を出すことになります。 株式を売る相手は、その会社の株主になりたいという投資家です。

では、具体的に株式を売ったりする場合、どれくらいの値段で売れるのでしょうか?

株式の値段のことを“株価”といいます。株価は、その時々の会社の価値を表すものといえます。

株価は、会社の経営成績である業績のほか、外国為替相場、金利、政治、国際情勢、天候などさまざまな要因によって、毎日動いています。

投資家にとっては、買ったときの株価より売ったときの株価が高くなっていれば、その時に株式を売って換金することにより売却益(売買益)が得られます。

株式をはじめとする金融の知識を持っていれば、ニュース等をもっとよく理解することができるとともに、企業の事業活動に興味を持つきっかけとなります。

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